重力ピエロ伊坂幸太郎・著非常に難しい、難解な小説でした。
物語の中に、遺伝子のことがでてくるので、専門知識を持っていないと理解するのが難しい、ということもそうですが、物語の内容、テーマも、非常に難しい。
強姦という悲劇によって生まれた子どもが、その後どう生きるか。
そもそも、その悲劇によって妊娠したとき、産むのか、否か。
結婚していた場合、被害にあった女性の夫は、女性とは別に苦しむことになる。
怖い思いをした妻に、その結果妊娠した子を産めというのも、相当に勇気がいると思う。
かといって、「堕胎しよう」というのも、罪のない子どもの命を奪うことになってしまう。
私は女ですが、そんなことになったときどうしたらいいのか、自分ではわかりません。
でも、物語の中に出てくる、泉水と春の兄弟の父親は、こう言います。
「春は俺の子だよ。俺の次男で、お前の弟だ。俺たちは最強の家族だ。」
揺るぎない、力強い言葉に、小説の冒頭ですでに泣きそうでした。
こんなに強い親父がいるものだろうか。
こんなに強い親父だったから、きっと奥さんは春を産む決意をしたのだろうし、その後、気を強く持って育てることができたし生きていくことができたんだろうなぁと想像しました。
泉水と春の兄弟愛もさることながら、親父の強さにも勇気をもらえた作品です。
困難が起きたとき、こんな人が側にいてくれたら、きっと力強く乗り越えられると思う。